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教育再生懇報告/小中学生の携帯不所持進めよ
 政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾塾長)は先月下旬、「必要のない限り小中学生が携帯電話を持たないようにする」ことを柱とする第一次報告をまとめた。極めて妥当な提言であり、実現に向けて関係者は全力を挙げるべきだ。

事業者や親の責任重大
 既に小学校で三分の一が、中学校では半分以上が携帯電話を所持している。また子供の携帯電話の所持率は上昇する傾向にある。
 確かに、塾通いで帰宅が遅くなる場合など、親としては携帯電話で子供と容易に連絡がつけられ、安心かもしれない。だが、親の知らない間に子供が携帯電話からインターネットの有害サイトにアクセスし、有害情報の虜になるという危険性を見落としてはならない。

 最近では、学校の行事などを知らせる学校公式サイトと異なり、「学校裏サイト」が多数出現し、匿名で在校生を誹謗(ひぼう)中傷したり、いかがわしい画像も出回っている。また、そうした類の情報や画像を次に誰かへ送るように迫るチェーン・メールも存在している。携帯電話がつくり出す影の部分は深刻化する一方だ。

 このままでは、さらに携帯電話の所持率が上がり、持たない児童・生徒が、その嫌がらせメールを知らないことでからかいの対象になるなどの事態も頻発しよう。専門家によれば、今や子供たちへの有害情報は、邪悪な大人が発信しているというより、こうした心が未成熟な子供たち自身により発信される結果になっているという。

 インターネットの世界には、アダルト・サイトなど子供がアクセスすべきではない有害サイトが少なくない。携帯電話があれば、他人の目を全く気にすることなく、そうした有害サイトに自由にアクセスできる。子供にはフィルタリング導入が原則となったが十分ではない。こうした危険なツールを判断力の乏しい子供たちがどんどん所持できるようにしてきた事業者や親など大人社会の責任は重大である。

 経験豊富な有識者から成る教育再生懇談会が、最初の提言で、こうしたメッセージを出した意味は大きい。換言すれば、政府の諮問機関が、これほど明確に規制を言明しなければならないほど事態は深刻だと言える。

 提言は、小中学生が持つ場合には、通話機能限定のものを利用するよう指摘し、そうした携帯電話の開発普及に携帯事業者が協力するよう訴えている。

 福田首相は、この提言を歓迎しており、増田総務相も事業者に促してでも協力を依頼する旨を表明した。政府が指導力を発揮し、保護者、学校、関係業界が総掛かりで取り組めば実現は可能だ。

 提言はまた、安全確保などの理由から携帯電話を持たせる場合でも、小中学生にはメール機能のない相手方限定の通話機能やGPS機能のみのものを持たせることを提案している。東京・品川区では区立の全小中学生にこの種の携帯電話を貸与している。


社説
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh080601.htm
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