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どもにインターネットの危うさを教えたいけれど、有害サイトに実際アクセスするわけにもいかない――。そんな悩みに応えようと、ネットの危険を疑似体験させる取り組みが岩手県で始まっている。チャットやフィッシング詐欺、アダルトサイトまで、さまざまな「冒険」が可能だ。



「ゲームのダウンロード」の疑似画面。「ダウンロード」をクリックすると「ウイルスに感染しました」という表示が出る=岩手県陸前高田市の気仙小で、疋田写す

 陸前高田市の市立気仙(けせん)小学校のパソコン室。6年生の菅野健太さんと父親の拓夫さん(45)は思案顔でホームページ(HP)画面をのぞき込んでいた。現れたのは「お・と・な・のアイドルのページへようこそ」の文字。アダルトサイトへの入り口だ。

 「18歳以上ですか」の質問が迫り、どぎまぎする2人。画面を閉じて事なきを得たが、「はい」と「いいえ」のどちらを選んでも「ご利用ありがとうございます。60日間2万4000円」の表示が出るからくりだ。

 実はこれ、岩手県総合教育センターが開発した教材ソフトだ。外部のネットと遮断されており、実際のサイトで被害に遭わずに怖さを体験できる。気仙小では昨年末の授業参観日で使ってみた。拓夫さんは「家にもパソコンがあるけど、『危ないHPにいくなよ』と言うだけ。子どもを留守番させるときなんかは正直不安ですね」と話した。

 「自動車教習所でも、外に出る前に教習所で走らせますよね。それと同じ発想です」とセンターの及川晃貴研修主事。開発を始めたのは04年。長崎県佐世保市で小学6年の女児が、チャット仲間を殺害した事件があった年だ。

 このソフトでは、チャットやネットオークションの詐欺、カードの暗証番号を聞き出されるフィッシングなど、さまざまな「落とし穴」が体験できる。

 センターは岩手県内の小・中・高校からの要請で「出前授業」をするほか、先生向けの「10年研修」でソフトの活用法も教える。今年度はすでに1500人以上の先生や子どもたちが参加した。

 県立軽米高校では、研修で学んだ先生がさっそく昨秋から授業に採り入れた。

 椛沢(かばさわ)和歌教諭(34)は「生徒がネットに載せている個人情報などをみて、これはまずいと思っていたが、実際どう授業で教えたらいいか、これまではわからなかった」という。

 国立教育政策研究所で情報科教育を担当する永井克昇(かつのり)教育課程調査官は「これほどリアルな体験型ソフトは全国でも珍しい」という。「情報が人を殺すこともある。交通安全教育と同じように情報安全教育も必要だが、これまでは危ないサイトを実体験するわけにもいかないという課題があった。他県にも参考になるはずだ」と期待する。

asahi.com:有害サイトを擬似体験 授業で活用、怖さ教える・岩手 - 教育
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200802180092.html
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